
この記事を書いた専門家
加藤 誠 (Kato Makoto)
家庭犬しつけインストラクター(JAHA認定)、2児(9歳、6歳)の父。
自身の愛犬(ウェルシュ・コーギー)と子供たちとの暮らしの中から得たリアルな経験を基に、これまで500組以上の家族をサポート。特に「犬と子供の安全な関係構築」に関するセミナーが保護者から高い評価を得ている。専門家として、そして同じ父親として、あなたの家族が最高のパートナーと出会うお手伝いをします。
「子供のために、犬のいる暮らしを」。その想い、本当に素敵ですよね。
家族みんなで犬と笑い合う、温かい光景が目に浮かびます。
でも、心のどこかで「うちのやんちゃな子供たちと、本当にうまくやっていけるだろうか?」という、親として当然の不安がよぎりますよね。
ご安心ください。その不安は、「正しい知識」と「家族の約束事」で、確かな自信に変えることができます。
この記事は、単なる犬種図鑑ではありません。
あなたのお子さんの安全を最優先に考え、10年後も家族全員が「この子を迎えてよかった」と心から思えるための、後悔しない中型犬との暮らしの完全プランニングガイドです。
この記事を読み終える頃には、ご家族に最適な犬種の候補がわかり、迎える前に準備すべきこと、そして最も大切な「安全のルール」がすべて明確になっています。
H2-1: 「絶対に噛まない犬はいますか?」専門家がいつも聞かれる、その質問への本当の答え
お子さんたちが「ワンちゃん欲しい!」って盛り上がっている姿、目に浮かびます。
うちもそうでしたから。でも、親としては『本当に安全だろうか?』って不安になりますよね。
その気持ち、痛いほどわかります。
インストラクターとして活動していると、保護者の方から必ずと言っていいほど聞かれる質問があります。
それは、「絶対に子供を噛まない、100%安全な犬種はどれですか?」というものです。
万が一にも、自分の子供が傷つくことだけは避けたい。
その切実な願いの表れだと思います。
この質問に対して、私はいつも誠実にお答えしています。
「残念ながら、100%絶対に安全な犬というものは存在しません」と。
どんなに温厚な犬種でも、犬は犬です。
嫌なことをされれば唸るし、命の危険を感じれば口も出します。
私自身、多くのご家庭を見る中で考え方が大きく変わりました。
昔は「犬のしつけ」さえ完璧にすれば問題は起きないと思っていましたが、今は違います。
犬と子供がいる家庭での成功の秘訣は、「犬と子供、両者をしつける(=お互いのルールを教える)こと」だと確信しています。犬だけに完璧を求めるのは、実は間違いなのです。
大切なのは、家族みんなで安全な環境を作り出すこと。
大丈夫です。そのための具体的な方法を、これから一緒に見ていきましょう。
H2-2: 成功の鍵は「犬種の歴史」にあり。猟犬タイプ?牧畜犬タイプ?あなたの家族に合うのはどっち?
犬種選びで失敗しないための、とても重要な視点があります。
それは、その犬種が持つ「仕事の歴史」、つまりルーツを知ることです。
なぜなら、犬の基本的な気質は、何百年もの歴史の中で作られてきたからです。
例えば、日本で絶大な人気を誇る柴犬は、元々、山で鳥や小動物を狩る「猟犬」でした。
そのため、自分で考えて行動する自立心や、獲物に対する集中力が非常に高いのです。
この性質は、家庭犬としては「クール」「頑固」「自分のペースを大切にする」といった気質に繋がります。
一方で、ウェルシュ・コーギーは、牛のかかとを軽く噛んで群れを誘導する「牧畜犬」でした。
そのため、家族(群れ)の動きをよく見て、人と協力して作業するのが得意です。
この性質は、「社交的」「遊び好き」「家族と一緒に何かをしたがる」といった気質に繋がります。
どちらが良い悪いではありません。
あなたの家族が、犬とどう関わりたいか。
柴犬のような猟犬タイプの自立心を尊重し、適切な距離感を保てるか。
それとも、コーギーのような牧畜犬タイプの有り余るエネルギーに、家族みんなで付き合ってあげられるか。
犬種の歴史を知ることは、家族の未来の姿を想像するための、最高のヒントになるのです。
H2-3: 【子供のいる家庭向け】初めての中型犬、最有力候補2犬種を徹底比較!柴犬 vs コーギー
それでは、ここからは日本の家庭で特に人気が高く、中型犬の代表格ともいえる「柴犬」と「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」の2犬種に絞って、客観的なデータと共により詳しく比較していきましょう。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 柴犬を選ぶなら「犬の個性を尊重する覚悟」を、コーギーを選ぶなら「有り余る体力に付き合う覚悟」を持ってください。
なぜなら、多くのご家庭が迎えた後に直面する最大の課題が、まさにこの点だからです。「子供が触ろうとすると嫌がる」という柴犬の悩みや、「雨の日でも散歩に行きたがって大変」というコーギーの悩みは非常によく聞きます。犬種の特性を「そういうものだ」と受け入れる覚悟が、後悔しないための第一歩です。
📊 比較表
柴犬 vs コーギー 家族になるならどっち?リアル比較
| 特徴 | 柴犬 | ウェルシュ・コーギー・ペンブローク |
|---|---|---|
| 子供との相性 | △〜○ (独立心が強く、しつこくされるのを嫌う傾向。適切な距離感を保てれば良い関係を築ける) | ◎ (非常に友好的で遊び好き。子供の良い遊び相手になるが、興奮しすぎてしまうことも) |
| しつけのしやすさ | △ (賢いが頑固な一面も。飼い主との信頼関係が何より重要。初心者には根気が必要) | ○ (賢く、物覚えが良い。食べることが好きなので、おやつを使ったトレーニングが効果的) |
| 必要な運動量 | 1日2回、各30分〜1時間程度 | 1日2回、各1時間程度(短い足でも体力はパワフル!) |
| お手入れの手間 | △ (ダブルコートで抜け毛は非常に多い。換毛期は特にこまめなブラッシングが必要) | △ (ダブルコートで抜け毛が多い。特にアンダーコートが密なので、ブラッシングは必須) |
| 遺伝性疾患リスク | アレルギー性皮膚炎、膝蓋骨脱臼 | 椎間板ヘルニア、変性性脊髄症(DM) |
ウェルシュ・コーギーは遺伝性疾患のリスクを抱えているため、迎える際にはブリーダーが親犬の遺伝子検査を行っているかを確認することが非常に重要です。
また、万が一の医療費に備えてペット保険への加入は、どちらの犬種を迎えるにしても必須と考えましょう。
H2-4: 迎える前に必ず約束!鈴木家が守るべき「犬と子供の安全ルール5箇条」
犬種選びと並行して、いえ、それ以上に大切なのが、家族全員で「安全のルール」を共有することです。
犬を迎える前に、これからお話しする5つのルールを家族の憲法にしてください。
これが、あなたのお子さんと新しい家族を守る、何よりの盾になります。
- 【ルール1】犬と子供”だけ”にしない
何歳であっても、どんなに慣れていても、大人の監督がない状況で犬と子供を二人きりにするのは絶対にやめましょう。予測不能な子供の動きが、思わぬ事故の引き金になることがあります。 - 【ルール2】犬の「聖域」を邪魔しない
犬が自分のハウス(クレート)で休んでいる時、食事をしている時、お水を飲んでいる時は、犬にとってのプライベートタイムです。その最中に手を出したり、邪魔したりしないことを、お子さんに徹底して教えてください。 - 【ルール3】「優しく触る」を教える
子供は加減を知りません。目や耳、しっぽを引っ張ったり、上からわしづかみにしたりするのは、犬にとって大きなストレスです。犬の体を優しく撫でる方法を、大人が手本を見せながら教えてあげましょう。 - 【ルール4】犬からの「イヤだ」のサインを見逃さない
犬は言葉を話せませんが、体で気持ちを伝えます。「あくびをする」「鼻を舐める」「顔をそむける」といった行動は、実はストレスを感じているサインです。これらのサインが見られたら、すぐに犬を解放してあげてください。 - 【ルール5】家族みんなで「しつけ教室」に行く
子供と犬の安全を確保するための最も効果的な方法は、専門家の下で正しい接し方を学ぶことです。パピークラスは、犬が社会性を身につけるだけでなく、お子さん自身が最高のドッグトレーナーになるための絶好の機会です。ぜひ、ご家族全員で参加してください。
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📝 *我が家の犬と子供の安全あんしん契約書
目的:* 5つの安全ルールを家族全員で共有し、新しい家族を迎える覚悟を新たにするための約束の証。
構成要素:
1. タイトル: 家族みんなが笑顔でいるために!我が家の『犬と子供の安全あんしん契約書』
2. 前文: 「私たちは、新しく家族になる〇〇(犬の名前)が、安全で幸せに暮らせるように、以下の5つのお約束を守ることを誓います。」
3. ルールリスト: 上記の5つのルールを、子供にも分かるような簡単な言葉とイラスト付きで記載。
4. 署名欄: 「日付:」「お父さん:」「お母さん:」「〇〇(お子さんの名前):」のように、家族全員がサインできる欄を設ける。
H2-5: よくある質問(FAQ)
Q1. 男の子と女の子、子供のいる家庭にはどちらが飼いやすいですか?
A1. 一般的に、男の子は甘えん坊で遊び好きな傾向が、女の子は比較的落ち着いていて自立心がある傾向があると言われますが、これは個体差が非常に大きいです。性別で決めるよりも、子犬一頭一頭の性格をブリーダーによく聞いて、ご家族の雰囲気に合う子を選ぶことをお勧めします。
Q2. 中型犬を迎えるための初期費用は、どれくらい見ておけば良いですか?
A2. 子犬の価格によって大きく変動しますが、子犬代のほかに、ケージや食器などのグッズ代、ワクチン代、畜犬登録料などを含め、30万円〜60万円程度が一つの目安になります。
Q3. 毎月の飼育費用はどれくらいかかりますか?
A3. フード代、消耗品代、予防薬代、ペット保険料などを合わせて、月々2万円〜3万5千円程度を見ておくと安心です。これに加えて、病気やケガをした際の医療費や、しつけ教室の費用などが別途必要になる場合があります。
まとめ & 行動喚起
子供と犬が安全で、心から幸せに暮らすための秘訣は、犬種選びと同じくらい、いえ、それ以上に、家族全員で「命を預かる覚悟」を決め、安全のルールを守ることにあります。
この記事を読んだことで、あなたはもう、ネット上の無数の犬種リストに惑わされることはありません。
あなたの家族だけの、最高のパートナーを迎えるための、確かな判断基準と具体的な計画が手に入ったはずです。
さあ、憧れを現実に変える時が来ました。
まずは、[「我が家の安全あんしん契約書」] を印刷して、今週末、お子さんと一緒に「新しい家族との大切なお約束」について、じっくり話し合ってみませんか?
それが、あなたの家族の新しい物語の、最高のスタートになるはずです。
[参考文献リスト]
参考文献
- 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ (JKC): 犬種標準及びその解説
- アニコム損害保険株式会社: 「家庭どうぶつ白書」
ライター紹介 Writer introduction
いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。