
「うちの子って、どれくらい見えているんだろう?」「犬って目がいいの?悪いの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか。
実は、犬の視力は“人間と比べてどうか”だけでなく、“犬種によってもかなり違う”と言われています。
この記事では、犬の視力の基本から犬種ごとの傾向、そして視力を守るためのケアまで、やさしく解説していきます。
1. 犬の視力はどうなっている?まずは基本を知ろう
犬の目のしくみ:人間とはここが違う
犬の目は、基本的な構造は人間とよく似ていますが、見え方には大きな違いがあります。
人間は細かい文字や色をはっきり区別するのが得意ですが、犬は「動き」や「暗い場所」を認識する力に優れています。
犬の網膜には「動き」に反応する細胞が多く、獲物の動きや遠くの物体の変化を素早く察知できるようになっています。
昔の狩猟本能の名残が、今も視力の特徴として残っているのですね。
犬が見ている世界とは?(色・明るさ・動き)
犬は、私たちが見る世界とは少し違う色彩で世界を見ています。
よく「犬は白黒しか見えない」と言われることがありますが、現在では青や黄色など一部の色は識別できると考えられています。
一方で、赤やピンクなどの色は、犬にとってはグレーに近く見えているかもしれません。
その代わり、暗い場所でも見えやすい・動いているものに反応しやすいという、犬ならではの強みがあります。
犬の視力は「悪い」のではなく「特化型」
人間のように「視力1.0」といった測り方をすると、犬の視力はやや低めと感じるかもしれません。
ですが、犬にとっては、文字を読む必要も、細かい数字を見分ける必要もありませんよね。
犬の視力は、“遠くの動き”や“暗い中での変化”に適した形で発達していると考えるとわかりやすいです。
「人と同じではない=悪い」ではなく、「犬の暮らしに合った見え方」をしているという感覚でとらえてあげましょう。
視覚より嗅覚・聴覚が強い理由
犬はもともと、目よりも鼻(嗅覚)と耳(聴覚)をメインに世界を感じています。
においで相手を判別し、音で距離を測り、視覚はそのサポートのような役割をしています。
そのため、私たちが「よく見えているかどうか」を気にするほど、犬自身は“目に頼って生きてはいない”という点も覚えておきたいですね。
2. 犬種ごとの視力の違いとは?特徴と傾向を解説
小型犬(トイプードル・チワワなど)の視力の特徴
小型犬は、室内での生活が中心のことが多く、近い距離での認識が得意な傾向があります。
飼い主さんの動きや手のジェスチャー、表情をよく見ている小型犬も多いですよね。
ただし、目が大きく突出している犬種(チワワやシーズーなど)は、乾燥や傷に注意が必要です。
視力そのものだけでなく、「目を守るケア」も意識すると安心です。
中型犬(柴犬・コーギーなど)の視力の特徴
柴犬やコーギーなどの中型犬は、屋外での活動が多く、動きや距離感の把握に優れているとされています。
ボール遊びやフリスビーなど、動くものを追いかける遊びが得意な子も多いですね。
大型犬(ゴールデン・シェパードなど)の視力の特徴
ゴールデンレトリバーやシェパードなどの大型犬は、本来は作業犬や牧羊犬として働いていた歴史を持つ犬種が多く、遠くを見渡す能力が求められてきました。
そのため、走る人や自転車、動物などの動きを素早くキャッチする力に優れていると言われています。
“視覚ハウンド”と呼ばれる視力特化型の犬たち
グレーハウンドやサルーキ、ボルゾイなどは、「サイトハウンド(視覚ハウンド)」と呼ばれ、
遠くの獲物を目で見つけて追いかける役割を担ってきた犬種です。
彼らは広い視野と動体視力に優れていて、走る物体に対して素早く反応します。
ドッグランで何かが動くと、一瞬で追いかけていく姿はまさに“視覚のプロ”といった印象ですね。
肉食動物と草食動物の視力の違いと犬への影響
一般的に、肉食動物は目が顔の前側についていて、獲物を正面からとらえるのが得意です。
一方、草食動物は顔の横側に目がついていて、広い範囲を見渡せるようになっています。
犬は肉食寄りの雑食動物として進化してきたため、
・正面のものにピントを合わせて追いかける力
・ある程度広い範囲の動きを察知する力
の両方をバランスよく持っていると言われています。
3. 犬の視力を左右する要因
遺伝:犬種による視覚能力の違い
犬の視力には、犬種ごとの遺伝的な特徴が大きく関わっています。
先ほどのサイトハウンドのように「遠くを見ること」に特化している犬種もあれば、顔の構造上、目の病気が出やすい犬種もあります。
年齢による視力の変化
人間と同じように、犬もシニア期になると視力が落ちてくることがあります。
特に多いのが、白内障や網膜のトラブルです。
・段差でつまずく
・暗いところを怖がる
・物にぶつかることが増えた
などの変化が見られたら、早めに動物病院で相談してみましょう。
生活環境が視力に与える影響
強い紫外線やホコリ、乾燥した空気などは、目に負担をかけることがあります。
また、床に出しっぱなしの物が多いと、視力が落ちてきた犬には危険な障害物になることも。
「目の負担を減らす環境づくり」も、視力を守る大切なポイントです。
4. 犬の視力を守るためのケア
日常の目の健康チェック
次のようなポイントを、毎日のなでなでタイムにさりげなくチェックしてみましょう。
- 目やにがいつもより多くないか
- 白く濁って見えないか
- 充血していないか
- 光に対する反応が鈍くなっていないか
少しでも「いつもと違うな」と感じたら、早めに動物病院で診てもらうと安心です。
栄養と視力の関係
目の健康には、ビタミンA・E、ルテイン、βカロテンなどの栄養素が関わっていると言われています。
バランスのとれたフードを選ぶことで、自然と目の健康もサポートできます。
サプリメントなどを検討する場合は、自己判断ではなく、かならず獣医師に相談するようにしましょう。
遊びやトレーニングで「見える力」を保つ
動くおもちゃを追いかける遊びや、ボール遊び、軽いアジリティなどは、目と体と頭を一緒に使う良いトレーニングになります。
無理のない範囲で、楽しく遊びながら視覚の刺激を与えてあげることで、犬の「見る力」「判断する力」も自然と育っていきます。
5. 犬種別の視力傾向まとめ
視力に優れているとされる犬種の例
一般的に、以下のようなサイトハウンド系の犬種は、動くものを遠くから見つける能力に優れていると言われています。
- グレーハウンド
- サルーキ
- ボルゾイ
- ウィペット
- イビザン・ハウンド など
ただし、「視力が良い=必ず健康」というわけではなく、どの犬種も、年齢や健康状態によって見え方は変わってきます。
目のトラブルに注意したい犬種の例
一方で、目が大きくて突出している犬種や、鼻が短い短頭種は、目の乾燥や傷、圧力のかかり方などに注意が必要です。
- チワワ
- シーズー
- パグ
- フレンチブルドッグ
- ペキニーズ など
こうした犬種は、視力そのものよりも「目を守るケア」を意識してあげると安心です。
6. 視力が落ちてきた犬へのサポート方法
見えにくくなってきたサインとは?
次のような変化が見られたら、視力の低下が始まっている可能性があります。
- 家具や壁にぶつかることが増えた
- 暗い場所を嫌がるようになった
- 段差を怖がる・降りたがらない
- 散歩中に足元を気にして慎重になる
生活環境の工夫でストレスを減らす
見えにくい犬にとって、いつも通りの配置はとても大切です。
家具の位置を頻繁に変えないようにし、床に物を置きっぱなしにしないことで、安心して歩ける環境になります。
夜は少し明かりをつけておく、階段や段差の前にマットを敷くなど、小さな工夫が愛犬の安心感につながります。
獣医学の進歩と治療の選択肢
白内障など、治療や手術によって改善が期待できるケースもあります。
「年だから仕方ない」と決めつけず、気になるサインがあれば獣医師に相談してみましょう。
7. まとめ:犬の視力を理解すれば、もっと安心して暮らせる
「人と違う」ではなく「犬らしい見え方」を知る
犬は、人間と同じようには見えていませんが、そのかわり、嗅覚や聴覚、動くものをとらえる力に優れています。
犬の視力は「悪い・良い」ではなく、「犬の生活に合った形」で発達していると考えると、少し気持ちが楽になります。
犬種や年齢に合ったケアで、目の健康を守ろう
犬種によって目の特徴やトラブルの出やすさはさまざまです。
愛犬がどんな特徴を持っているのかを知り、その子に合ったケアをしてあげることが大切です。
今日からできる小さな習慣が、大きな安心につながる
毎日のちょっとした目のチェック、バランスの取れたごはん、そして安全で歩きやすいお部屋づくり。
それだけでも、愛犬の“見える世界”を守る力になります。
愛犬がどんなふうに世界を見ているのかに思いをはせながら、これからも、やさしく寄り添ってあげたいですね。
ライター紹介 Writer introduction
いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。
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