
「愛犬がよく吠えるけど、どうして?」そんな疑問を持つ飼い主さんは多いはず。
実は“吠える”ことは、犬にとってごく自然なコミュニケーション方法なんです。
この記事では、犬が吠える理由とその背景、そして今日からできる優しい対処法を、専門的な視点も交えながら丁寧に解説します。
あなたの愛犬、なぜそんなに吠えるの?
犬の「吠える」という行動には、ちゃんと理由があります。
たとえば玄関のチャイムに反応して吠えるのは、「誰か来たよ!」という警戒心から。
飼い主さんが外出の準備を始めると吠えるのは、「行かないで」という不安からです。
つまり、吠えは“問題行動”ではなく、“気持ちを伝える手段”なのです。
犬の声の奥にある想いを理解できれば、無理に叱らなくても、自然と吠えが落ち着いていくことも少なくありません。
犬が吠える理由を正しく理解しよう
犬が吠える主な目的とは?
犬の吠えには、以下のような目的があります。
- 警戒・防衛:見知らぬ人や音に対して「危険かも」と知らせるため。
- 要求・欲求表現:「お腹がすいた」「外に出たい」など、何かを求めるサイン。
- 感情表現・コミュニケーション:うれしい・楽しい・さみしいなど、心の動きを伝える。
- ストレス・不安発散:長時間の留守番や刺激不足によるフラストレーション。
吠え方やタイミング、声の高さを観察することで、犬の意図を読み取るヒントが見えてきます。
犬にとっての「言葉」=吠えの意味
人間が言葉で会話するように、犬は声と態度を組み合わせて自分の気持ちを伝えます。
短い「ワンワン」は軽い要求、長い「ウォーン」は不安や孤独の表れなど、音の長さや高さでも意味が違います。
また、尻尾の振り方や耳の角度、目線の動きなども同時に見ると、より正確に気持ちを読み取ることができます。
吠え方・声のトーンでわかる気持ち
- 高く短い連続吠え:うれしい・興奮・注目してほしい。
- 低く唸り混じり:警戒・不安・恐怖を感じている。
- 遠吠え風の長い吠え:孤独・寂しさ・分離不安のサイン。
同じ“吠え”でも、「吠える理由」と「吠え方の特徴」を組み合わせて見ていくことで、愛犬の感情がより具体的に理解できます。
犬種や成長過程による違い
牧羊犬や警備犬などは、仕事柄「吠えて知らせる」性質が強く残っています。
逆に、愛玩犬は人に甘えるための声を出しやすい傾向があります。
さらに、幼少期の“社会化期”にどんな経験をしたかも大きく影響します。
子犬の頃に人・音・場所に慣れていないと、成犬になってから新しい刺激に敏感になり、吠えやすくなることがあります。
犬が吠える4つのタイプ別原因
① 警戒・防衛からくる吠え
「チャイムが鳴ると吠える」「通行人に反応する」といったケースは、警戒本能が強く働いている状態です。
特にテリトリー意識の強い犬は、自宅周辺を“自分の縄張り”と感じやすくなります。
このタイプでは、来客時に飼い主が落ち着いて対応し、「大丈夫だよ」と声をかけることで安心感を与えるのが有効です。
② 遊び・興奮・要求による吠え
飼い主さんの注目を引くために「遊んで!」と吠えることもあります。
たとえば、おもちゃをくわえて持ってきたときに吠えるのは「かまってほしい」のサイン。
この場合は、吠えたときに反応せず、「静かにできた瞬間」にほめて遊ぶようにすると、徐々に落ち着いていきます。
③ ストレス・不安・孤独からの吠え
お留守番中に長時間吠える、夜中に鳴くなどは、寂しさや不安のサイン。
特に「分離不安症」の犬は、飼い主の姿が見えなくなるだけでパニックに陥ることがあります。
お留守番の前に短い散歩をしたり、知育トイにフードを詰めて“集中できる時間”を作ることが、安心感につながります。
④ 外的刺激(他の犬・人・音)への反応
他の犬や子どもの声、バイクの音などに反応するタイプです。
これは、社会化不足や過去の恐怖体験が影響している場合もあります。
刺激を完全に避けるのではなく、距離をとって“慣らす練習”を重ねることがポイント。
静かな環境から徐々にステップアップしましょう。
ワンポイント:吠える時間や頻度を日記にしてみましょう。何に反応しやすいかが明確になると、対処がスムーズになります。
飼い主が知っておくべき4つの真実
真実1:吠えは「悪」ではない
吠えるのは本能的な行動であり、犬にとっての「自己防衛」でもあります。
完全にやめさせようとすると、ストレスが溜まり、かえって別の問題(噛みつきや破壊行動)に発展することも。
目指すべきは「吠えない犬」ではなく、「必要なときだけ落ち着ける犬」。
飼い主の対応次第で、犬の安心感は大きく変わります。
真実2:叱るより「理由を探る」ほうが効果的
「うるさい!」と叱るのは逆効果。犬は「飼い主も一緒に興奮してる!」と勘違いし、さらに吠えることもあります。
まずは環境を見直しましょう。
外の音が刺激になっているなら、カーテンやホワイトノイズを使うだけでも改善することがあります。
真実3:トレーニングは一貫性と根気が大事
犬は「状況と行動のセット」で学習します。家族の誰かが許して、誰かが叱る…では混乱するばかり。
全員でルールを統一することが大切です。
成功した瞬間をほめる“タイミング”が特に重要。1〜2秒遅れるだけで、犬は「何をほめられたのか」がわからなくなります。
真実4:健康状態が関係していることもある
突然吠えが増えた場合、痛みや体調不良が隠れていることも。
特に高齢犬は、耳が遠くなったり認知症が進むことで、不安から夜鳴きすることがあります。
体調の変化が疑われるときは、早めに動物病院で相談しましょう。
今日から実践できる!吠え対策と飼い主の工夫
ポジティブ強化(褒めてしつける)の実践法
ポジティブ強化とは、「できた瞬間を褒める」トレーニング法です。
罰ではなく、成功体験を積み重ねて行動を変えていきます。
- 静かにできた瞬間を褒める:吠えが止まった1秒以内に「いい子!」と声かけ+おやつ。
- 代替行動を教える:「おすわり」「マット」で落ち着く練習を繰り返す。
- 練習は短く・回数多く:1日2〜3分を数回。疲れる前に終わらせるのがコツ。
犬は“褒められるとまたやりたくなる”生き物。
叱るよりも何倍も早く行動が変わります。
「無駄吠え防止」グッズの上手な使い方
- 知育トイ・コング:中にフードを詰めて、集中して遊べる時間を作る。
- クレート・ハウス:「落ち着ける自分の場所」を用意する。
- 環境音・香り:リラックス音楽やラベンダーの香りも有効。
ただし、電気刺激など“恐怖”を利用したグッズはNG。
信頼関係を壊してしまう恐れがあります。
散歩・運動・遊びでストレスを減らすコツ
心のバランスを保つためには、体を動かすことが大切です。
散歩の際は匂いを嗅ぐ時間を多めにとり、犬のペースで歩くようにしましょう。
また、家の中では「ノーズワークマット」や「おやつ探しゲーム」など、頭を使う遊びも効果的です。
専門家(トレーナー・獣医)に相談すべきサイン
- 吠える頻度・強さが急に変わった。
- 留守番時に物を壊す・排泄の失敗が増えた。
- 夜中に吠える・寝つきが悪い。
- トレーニングを続けても改善しない。
早めの相談は、犬のストレス軽減にもつながります。
恥ずかしがらずに専門家へ相談してみましょう。
吠えを理解することで深まる犬との絆
吠えを通してわかる「犬のSOS」
吠えは「助けて」「気づいて」のサインでもあります。
生活リズム、散歩の時間、遊びの内容を少し見直すだけで、犬の気持ちが安定することもあります。
飼い主の反応が犬の安心感をつくる
犬は飼い主の感情を敏感に読み取ります。
焦らず落ち着いて対応することで、「この人と一緒なら大丈夫」と安心できるようになります。
吠えを減らすこと=信頼関係を育むこと
吠えをコントロールすることは、しつけの目的ではなく“信頼を築く過程”。
小さな変化を褒め、少しずつ理解し合うことで、絆は確実に深まっていきます。
まとめ:吠えを通じて愛犬の気持ちを理解しよう
- 吠えは「犬の言葉」。まずは理由を観察して理解することから。
- 叱るより、ほめる・落ち着かせる・環境を整えるのが基本。
- 健康面にも注意し、異変があれば早めに受診。
- 愛犬の“心の声”を聞くことが、信頼関係を深める第一歩です。
ライター紹介 Writer introduction

いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。
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