

この記事を書いた人:合田 剛
超大型犬ライフアドバイザー / 元ブリーダー
自身もレオンベルガーとニューファンドランド計3頭と暮らし、看取った経験を持つ。厳しい現実(短命、高コスト)を隠さずに伝える「愛ある厳格な先輩」として、本気の覚悟がある飼い主をサポートしている。
念願だった庭付きのマイホームを手に入れ、リビングの窓から広い庭を眺めたとき、あなたの心にふと浮かんだのは「いつか飼いたかった、あの大きな犬」のことではありませんか?
「せっかく広い家があるなら、もっと大きくて、誰も飼っていないような特別な相棒が欲しい」
そう思う一方で、ゴールデンレトリバーやラブラドールでは少し物足りない。
かといって、マスティフのような闘犬種は扱える自信がないし、そもそも日本の気候で飼えるのかも分からない。
そんな「野心」と「不安」の間で揺れているあなたの気持ち、痛いほどよく分かります。
結論から言います。日本で飼える、珍しくてカッコよくて、そして家族として愛せる最高の超大型犬。それは「レオンベルガー」です。
自身も3頭の超大型犬を看取ってきた私が、図鑑には載っていない「飼育のリアル(お金・寿命・床)」と、それを乗り越えてでも彼らと暮らす価値について、包み隠さずお話しします。
なぜ「レオンベルガー」なのか?日本で飼える希少なジェントルジャイアント
数ある超大型犬の中で、なぜ私がレオンベルガーを推すのか。
それは、この犬種が持つ「圧倒的な見た目」と「驚くほど穏やかな性格」のギャップにあります。
ライオンのような見た目、中身は「優しい巨人」
レオンベルガーは、その名の通りライオンに似せて作られたドイツ原産の犬種です。
オスであれば体重は60kg〜80kgにもなり、立ち上がれば大人の男性の肩に手が届くほどの巨体を誇ります。
その黄金色の被毛と、顔を引き締めるブラックマスクの渋さは、街を歩けば誰もが振り返るほどの存在感です。
しかし、その中身は「ジェントルジャイアント(優しい巨人)」と呼ばれるほど温厚です。
もともと家庭犬として改良された歴史を持つため、子供に対しても非常に寛容で、無駄吠えも少ないのが特徴です。
日本では「幻」レベルの希少性
「珍しい犬」を求めているあなたにとって、レオンベルガーは完璧な選択肢です。
ジャパンケネルクラブ(JKC)の登録データを見ても、その数は極めて少なく、グレート・ピレニーズやバーニーズ・マウンテン・ドッグとは比較にならないほどの希少性があります。
レオンベルガーとジェントルジャイアントという特性は、まさに「強面なのに優しい」という最強のギャップを生み出しており、所有する喜びを深く満たしてくれます。

【現実直視】夢を見る前に知っておくべき「お金」と「寿命」の話
ここからは、少し厳しい話をします。
もしあなたが「カッコいいから」という理由だけで飼おうとしているなら、ここでページを閉じてください。
超大型犬との暮らしは、甘い夢だけではありません。
生涯費用500万円の覚悟
超大型犬は、全てが「規格外」です。
体が大きければ、食べる量も、薬の量も増えます。
特に盲点なのが「夏の電気代」です。
レオンベルガーは寒冷地の犬種であり、日本の高温多湿は命取りになります。
日本の夏と24時間冷房はセットで考える必要があり、5月〜10月はエアコンを24時間つけっぱなし(設定温度20〜22度)にする覚悟が必要です。
また、動物病院での医療費も体重に比例します。
フィラリア予防薬や麻酔代は、小型犬の約5〜8倍になると考えてください。
📊 比較表
小型犬と超大型犬の年間維持費比較(概算)
| 項目 | トイプードル(小型犬) | レオンベルガー(超大型犬) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 食費 | 約5万円 | 約40〜60万円 | プレミアムフード+トッピング |
| 医療費(予防) | 約3万円 | 約15〜20万円 | フィラリア・ノミダニ薬が体重別料金 |
| 電気代(夏) | 通常通り | 月3万円〜 | 24時間フル稼働が必須 |
| トリミング | 約8,000円/回 | 約2〜3万円/回 | 自宅シャンプーは重労働 |
| 年間合計 | 約15〜20万円 | 約80〜100万円 | ※突発的な病気・手術代は含まず |
「8年」という短すぎる時計
そして、最も受け入れがたい現実が「寿命」です。
超大型犬という種族は、体が大きいほど寿命が短いという宿命を背負っています。
レオンベルガーの平均寿命は8〜10歳。
小型犬が15年以上生きる現代において、この時間はあまりにも短く、あっという間です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「10年生きてくれたら奇跡」と思って、毎日を全力で愛してください。
なぜなら、彼らの成長スピードは凄まじく、1歳で成犬になり、6歳を過ぎればもうシニアだからです。別れの時は必ず早く来ます。しかし、その密度の濃い時間は、他の何にも代えがたい「太く短い、黄金の時間」となるはずです。その覚悟がないなら、飼うべきではありません。
迎えるための準備:ブリーダー探しと「滑らない家」づくり
お金と寿命の現実を受け入れた上で、それでも「飼いたい」と心が震えるなら、あなたは飼い主になる資格があります。具体的な準備を始めましょう。
ペットショップにはいません
レオンベルガーのような希少犬種は、ペットショップのガラスケースには並びません。
国内の専門ブリーダー(シリアスホビーブリーダー)を探し、予約を入れるのが唯一のルートです。
「Raise & J.Dore」のような、犬質の向上と健康管理に命を懸けているブリーダーにコンタクトを取ってください。
子犬の価格は40〜50万円からが相場ですが、健全な繁殖を行っているブリーダーから迎えることは、将来的な医療費リスクを下げることにも繋がります。
フローリングは「凶器」と思え
家づくりで最も重要なのは「床」です。
ツルツル滑るフローリングと股関節形成不全などの関節トラブルは、密接に関係しています。
体重60kg以上の巨体が滑って転べば、大怪我に繋がります。
入居前に、犬が歩く全ての場所に「滑り止めコーティング(シリコンコーティング等)」を施すか、クッション性の高い「コルクマット」を敷き詰めてください。
これは選択肢ではなく、必須条件です。
よくある質問:散歩の量や車移動について
Q. 散歩は毎日何時間くらい必要ですか?
A. 激しい運動は不要です。ゆったり1時間程度で十分です。
体が重いため、過度なランニングやジャンプは関節を痛めます。ゆっくりと匂いを嗅がせながら歩く散歩を、朝晩30分〜1時間程度行えば十分満足します。ただし、夏場は早朝か深夜しか歩けません。
Q. 車での移動はどうすればいいですか?
A. ミニバン以上のサイズが必須です。
セダンやコンパクトカーの後部座席には収まりません。ハイエースやアルファードのようなミニバンを用意し、後部座席をフラットにして、スロープを使って乗り降りさせるスタイルが基本になります。
まとめ:太く短い10年を、最高の相棒と共に
レオンベルガーとの暮らしは、正直に言って大変です。
お金はかかるし、部屋は狭くなるし、夏はどこにも行けません。
そして、別れは早く訪れます。
でも、彼らがその大きな体で全身全霊で甘えてくるとき、その温かさと重みを感じるとき、あなたは思うはずです。
「この子と出会えて本当によかった」と。
憧れの超大型犬を、ただの夢で終わらせないでください。
覚悟が決まったなら、まずは専門ブリーダーのホームページを見て、その世界に触れてみてください。
あなたのその広い庭は、彼らが走るためにあるのですから。
[参考文献リスト]
ライター紹介 Writer introduction
いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。