
愛犬と暮らしていると、「なぜか生臭い」「魚のような臭いがする」と感じることはありませんか?
その原因の多くは「校門腺(こうもんせん)」と呼ばれる器官にあります。
校門腺は犬にとって大切な役割を持つ一方、分泌液が独特で強烈な臭いを放つため、飼い主さんを驚かせることも少なくありません。
本記事では、犬の校門腺の仕組みや匂いの種類、トラブルのサイン、さらには自宅や病院でのケア方法まで詳しく解説していきます。
正しい知識を持つことで、愛犬の健康を守り、日常の快適さも大きく変わります。
犬の校門腺とは?その役割と構造を解説
校門腺の基本知識
校門腺は、犬のお尻の両脇にある小さな袋状の器官で、分泌液をため込む役割を持っています。
英語では「Anal Gland」と呼ばれ、人間には存在しない器官です。
この分泌液は犬にとって個体識別のための“サイン”であり、犬同士が出会ったときに匂いを嗅ぎ合う行動は、まさに校門腺からの情報を読み取っているのです。
犬の体における校門腺の位置
校門腺は外から見えにくいですが、肛門を時計に例えると4時と8時の位置にあります。
左右対称に1つずつ存在し、袋の中に分泌液を貯め込みます。
触診すると小さなビー玉のような感触があり、溜まると硬さが増すのが特徴です。
校門腺の分泌液の役割と重要性
犬の校門腺分泌液には、個体ごとに異なる匂いが含まれています。
これはマーキングや自己防衛、仲間との識別などに使われる自然の「名刺」のようなものです。
犬が便をするときに圧力で自然に排出されるのが理想ですが、体質や便の硬さによっては溜まりやすくなることがあります。
犬の校門腺から出る臭いの種類
魚臭い理由とその影響
最も多いのが「腐った魚のような臭い」です。分泌液の主成分は脂肪酸で、酸化すると生臭さを発します。
この臭いは布団やソファに付着すると取れにくく、飼い主にとって大きな悩みとなります。
イカ臭い場合の考えられる原因
中にはイカやアンモニアのようなツンとした匂いを発する場合もあります。
これは細菌感染や軽い炎症の可能性があり、校門腺に負担がかかっているサインかもしれません。
放置すると炎症が進行し、肛門嚢炎(こうもんのうえん)につながることもあります。
鉄の匂いの正体と特徴
鉄のような金属臭を感じた場合は要注意です。
血液が混じっている可能性が高く、校門腺が破れて出血している場合や、膿と血液が混じって排出されているケースもあります。
これは緊急度が高いサインであり、すぐに動物病院を受診すべき状態です。
校門腺からの臭いが気になる理由
頻繁に出る臭いの原因とは?
本来は便と一緒に自然に出る校門腺液ですが、犬によっては分泌が過剰だったり、排泄時にうまく出せなかったりします。
特に小型犬や運動量の少ない犬はたまりやすい傾向があります。
その結果、歩いているだけで液が漏れ、カーペットや洋服に強烈な臭いがつくこともあります。
校門腺の手入れが必要な理由
校門腺が長期間放置されると、内部で細菌が繁殖し炎症を起こします。
最悪の場合、袋が破裂してしまい、痛みや感染症を伴う深刻な状態に。
そうならないためにも、定期的な校門腺絞りが必要です。
特に体質的にたまりやすい犬は1〜2か月に1回のケアが理想的です。
トラブルと病気のサインを見逃さない
「お尻を床にこすりつける」「頻繁に尻尾の付け根を舐める」「突然強烈な臭いがする」などは、校門腺の異常を示す代表的な行動です。
これらは犬からのSOS信号ですので、見逃さず注意深く観察することが大切です。
愛犬の校門腺ケア方法
獣医師が教える校門腺の手入れ法
最も安心なのは獣医師に任せることです。
肛門を軽く持ち上げ、適切な角度で圧迫して分泌液を絞り出します。
誤った方法で強く押すと粘膜を傷つけたり、破裂させてしまう危険があるため、初めての方は必ず専門家に指導を受けることをおすすめします。
定期的なトリミングとその効果
サロンでのトリミングに合わせて校門腺を絞ってもらうのも有効です。
プロの手により安全に処理されるだけでなく、毛の手入れと同時に清潔が保たれるため、一石二鳥です。
定期的なケアは犬自身の快適さにも直結します。
臭い消しのためのDIYケアのすすめ
飼い主自身でケアする場合は、ゴム手袋・ガーゼ・ペット用ウェットティッシュを用意しましょう。
愛犬を立たせた状態で尻尾を持ち上げ、肛門の両側を優しく押し込むように圧迫します。
ただし力加減には注意が必要で、強すぎると犬が痛がり、嫌な記憶が残ってしまいます。
初めは少量しか出ませんが、慣れるとスムーズに行えるようになります。
校門腺が破裂するリスクとは?
破裂の症状と対処法
校門腺が過度に溜まると膨れ上がり、最終的には皮膚が破れて中の液が飛び出す「破裂」が起こることもあります。
症状としてはお尻の腫れ、赤み、歩行時の違和感、痛みなどが見られます。
破裂すると犬に強い苦痛を与えるため、すぐに治療が必要です。
動物病院での治療プロセス
治療はまず膿や分泌液を徹底的に排出し、内部を洗浄します。
その後、抗生剤や消炎剤を使用して感染を抑えます。
場合によっては外科手術で校門腺を切除することもありますが、これは重症化した場合に限られます。
炎症を引き起こす原因とその防止策
便が柔らかすぎると圧力が足りず、自然排出されにくくなります。
そのため、繊維質を多く含むフードを選ぶことや、適度な運動を取り入れることが予防に有効です。
水分バランスを意識した食生活改善も大切なポイントです。
子犬における校門腺ケアの注意点
子犬の校門腺はどれくらい出る?
子犬は成犬に比べて分泌量が少なく、自然に排出されることも多いです。
しかし、体質的に溜まりやすい子もいるため、成長期から観察を続けることが大切です。
早期のトラブルを防ぐための知恵袋
子犬が頻繁にお尻を気にする様子があれば注意が必要です。
校門腺トラブルは早期対応が肝心で、重症化を防ぐためにも「少しおかしい」と思った段階で動物病院に相談しましょう。
習慣的な観察が将来の健康につながります。
子犬のしっぽと校門腺の関係
活発に動き回り、しっぽをよく振る子犬は肛門周りの筋肉も発達しやすく、分泌液が自然に出やすいと言われています。
逆におとなしくあまり動かない犬は排出がスムーズでないこともあるため、生活環境を見直すことがケアにつながります。
まとめ:犬の校門腺を正しく理解しよう
校門腺の役割を知ることの重要性
校門腺は犬の体に欠かせない器官であり、その匂いは犬にとって大切なコミュニケーション手段です。
臭い=不衛生と考えがちですが、犬にとっては自然な生理現象であることを理解することが第一歩です。
愛犬の健康を守るためのポイント
定期的なチェック、適切なケア、そして異常を感じた際の早めの受診。
この3つが愛犬を守る基本です。
飼い主のちょっとした気づきが、重症化を防ぎ、健康寿命を延ばすことにつながります。
今後のトラブルを未然に防ぐために
「臭いから嫌だ」と避けるのではなく、校門腺に関する正しい知識を持つことが何より重要です。
日常のケアを習慣にして、愛犬との暮らしをより快適で健やかなものにしていきましょう。
ライター紹介 Writer introduction

いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。
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