
はじめに:舌を出す犬、かわいいけれどそれって大丈夫?
愛犬がソファでうとうとしているとき、ちょこんと舌を出して寝ている姿…
その無防備さに、つい写真を撮りたくなりますよね。
でも、「最近いつも舌が出ている気がする」「これって病気じゃないのかな?」と少し心配になることも。
実は、犬が舌を出す行動にははっきりとした理由があります。
「暑い」「安心している」「不安」など、体や心の状態を表すサインなのです。
この記事では、体の仕組み・心理・健康の3つの観点からわかりやすく解説し、危険サインの見分け方や日常ケアまで丁寧にご紹介します。
犬の舌が出ている理由とは?
犬が舌を出す基本的なメカニズム
人は汗をかいて体温を下げますが、犬は汗腺が足の裏など限られた場所にしかありません。
その代わりに、舌を出して「ハアハア」と呼吸し、口内の水分を蒸発させて体温を下げます。
この仕組みはパンティングと呼ばれ、特に夏場や運動のあとによく見られます。
パンティング中は、舌の表面に血液が集まり、空気に触れることで体を冷やします。
これは犬が生きていくうえでとても大切な自然の反応なのです。
舌の構造と役割(体温調節・味覚・呼吸補助)
犬の舌は「筋肉のかたまり」といえるほど複雑に動く器官です。
食べ物を口に運ぶ、味を感じる、水をなめ取る、呼吸を補助するなど、日常のあらゆる動作に関わっています。
また、舌には血管が多く通っており、外気に触れることで熱を放出する“冷却装置”の役割もあります。
つまり、舌を出すという行動は、体温調整と快適さの維持を目的としているんです。
舌を出すタイミングとその意味
散歩後や遊んだあと、緊張が解けてリラックスしたときなど、舌を出す瞬間はさまざま。
中でも注目したいのが、「寝ているときに舌が少し出る」行動です。
これは筋肉が緩み、完全に安心している証拠。
飼い主に心を許している犬ほど、こうした無防備な姿を見せてくれます。
犬種による違い:短頭種は舌を出しやすい?
パグやブルドッグ、シーズー、ペキニーズなどの短頭種は、鼻が短く顎の形も独特です。
そのため舌が長く、自然と外に出やすい構造になっています。
また、歯の噛み合わせが少しずれていたり、口の中が狭い犬も舌をしまいにくい傾向があります。
これは生まれつきの体質であり、病気ではありません。
ただし、舌が乾きやすい犬種なので、こまめな水分補給や口元の保湿ケアをしてあげましょう。
犬の舌が出ている3つのメッセージ
① 暑さを感じてクールダウンしている
犬が舌を出して「ハアハア」しているのは、熱を逃がす自然な体温調整です。
とくに夏の暑い日や運動後、興奮したあとなどは、体内の温度が上がりやすくなります。
ただし、ハアハアが長時間続く場合や、涼しい場所でも呼吸が荒いときは注意が必要です。
熱中症や呼吸器疾患の初期症状であることも。
愛犬が暑がっている様子が見られたら、すぐに日陰に移動させ、水を飲ませてあげましょう。
② リラックスして安心しているサイン
飼い主のそばでくつろいでいるときや、眠たそうにしているときに舌が少し出ているのは、リラックスのサインです。
筋肉がゆるみ、無意識に舌が出てしまうのです。
とくに寝顔のときに見られる「ぺろっと出た舌」は、安心しきった証拠。
飼い主に信頼を寄せている愛犬の“幸せなしぐさ”と言えるでしょう。
③ 緊張やストレスのあらわれ
実は、舌を出すのは「ストレスを感じたとき」にも見られる行動。
ドッグトレーナーの間ではこれを「カーミングシグナル」と呼びます。
例えば、知らない人に触られたときや、大きな音に驚いたとき、犬は不安を感じて舌をペロッと出すことがあります。
これは「落ち着こう」とする自分なりのサイン。
頻繁に見られる場合は、生活環境や接し方を見直してあげましょう。
④ 老犬に多い「舌の筋肉の衰え」
高齢になると、舌の筋肉が少しずつ衰え、舌を口の中にしまいにくくなることがあります。
歯が抜けたり、顎の力が弱くなることで、自然と舌が外に出やすくなるのです。
寝ているときに舌が出ているのは、筋肉がリラックスしている証拠。
無理に戻そうとせず、やさしく見守ってあげましょう。
ただし、舌が乾いてひび割れている場合は、部屋の湿度や飲水量を見直すことも大切です。
犬の舌から読み取れる健康サイン
舌の色でわかる健康状態(ピンク・白・紫・黒)
- ピンク:健康的な色
- 白っぽい:貧血・冷えの可能性
- 紫がかる:酸素不足や循環不良の可能性
- 黒・茶の斑点:多くは生まれつきの舌斑で心配不要(変化が急なら要観察)
乾燥やひび割れは脱水のサイン
舌がカサカサに乾いているときは、体が水分不足を起こしている可能性があります。
とくに夏場やシニア犬は脱水になりやすいため、水を常に新鮮な状態で用意してあげましょう。
ウェットフードやスープタイプのごはんを活用するのもおすすめです。
舌の震え・腫れ・傷がある場合の注意点
舌の先が震えている、腫れている、出血しているなどの症状が見られたら注意が必要です。
口内炎、外傷、ウイルス感染などが原因の場合もあります。
早めに動物病院で診察を受けましょう。
歯の噛み合わせや口腔トラブルの影響
歯が抜けたシニア犬や、歯周病を抱えている犬は、舌の位置をうまく保てなくなることがあります。
その結果、舌が出やすくなったり、よだれが増えることも。
毎日の歯みがきや定期的な歯科検診で、舌の健康も守ることができます。
犬が舌を出しているときの環境チェック
室温・湿度のバランスを確認しよう
犬にとって快適な気温は25〜27℃前後、湿度は50〜60%程度といわれています。
暑すぎても寒すぎても体調を崩しやすいので、エアコンや加湿器を上手に使いましょう。
とくに短頭種は熱がこもりやすいので、室温管理は慎重に。
散歩時の気温と熱中症リスク
アスファルトの温度は、人が感じる気温よりも10℃以上高いことがあります。
夏の昼間に舌を出してハアハアしている犬は、体温上昇のサイン。
朝や夕方の涼しい時間帯に散歩をすることで、熱中症リスクを減らせます。
ハアハアが長引くときの対策方法
- 速やかに日陰・涼しい室内へ移動
- タオルや保冷剤で首・脇・内股を冷却(直接肌に当てない)
- 少量ずつの給水
- 改善しなければすぐ受診
室内環境も注意!エアコンや床の影響
エアコンの風が直接あたる場所や、乾燥した部屋は舌が乾きやすくなります。
床材が熱を持ちやすい素材の場合も注意が必要です。
「冷却マット」や「保湿用の加湿器」をうまく取り入れて、快適な環境を保ちましょう。
こんなときは注意!動物病院に相談すべきサイン
- 舌の色が紫・白・灰色になっている
- よだれが急に増えた/息が荒い
- 舌を引っ込められず常に出ている
- 食欲不振・ぐったりしている
これらの症状が見られた場合は、心臓病・呼吸器疾患・神経障害などが隠れている可能性もあります。
「いつもと違う」と感じたときは、迷わず獣医師に相談しましょう。
愛犬の舌を健康に保つケア方法
こまめな水分補給で潤いをキープ
1日に何度も新しい水を入れ替えましょう。
飲水量が少ない犬には、ドライフードにお湯を少しかけて香りを立たせると飲みやすくなります。
舌と歯を清潔に保つオーラルケア
舌の表面には細菌が付きやすく、口臭の原因にもなります。
週に数回、やわらかい歯ブラシや歯みがきシートで優しくケアしましょう。
ストレスを減らす生活環境を整える
お気に入りの場所でのんびりできる時間をつくることも、健康維持につながります。
日々のスキンシップや声かけで、安心感を与えてあげましょう。
獣医が推奨する「舌の健康チェック習慣」
- 舌の色はいつも通り?
- 乾燥・傷・腫れはない?
- 舌の出し方が不自然ではない?
この毎日の観察こそが、病気の早期発見につながります。
犬の舌に関するよくある疑問Q&A
Q1. 舌を出しっぱなしにしているけど大丈夫?
老化や歯の欠損が原因のこともありますが、病気の可能性も。長期間続く・他症状を伴う場合は受診を。
Q2. 黒いシミのような斑点は病気?
多くは生まれつきの舌斑で心配不要。急に増える・形が変わるなどの変化があれば観察・相談を。
Q3. 舌が出やすい犬種は?
チワワ、シーズー、パグ、ペキニーズなどの短頭種に多い傾向。口の構造や骨格によるものです。
Q4. 寝ているときに舌が出るのはなぜ?
深いリラックスで筋肉がゆるんでいるサイン。気持ちよく眠れている証拠です。
まとめ:舌から見える愛犬の気持ち
犬の舌は、心と体のバロメーター。
健康な舌はピンクでうるおいがあり、行動や表情と合わせて観察すると愛犬の「今」が見えてきます。
「今日はいつもより舌が出てる」「色が違うかも」――
そんな小さな変化に気づけるのは、毎日いっしょに過ごす飼い主さんだからこそ。
やさしく寄り添い、サインを見逃さず、もっと深い信頼関係を築いていきましょう。
ライター紹介 Writer introduction

いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。
-
ぶどうが愛犬に与える影響とは?危険な理由と正しい対処法を徹底解説
記事がありません