
まずお伝えしたいこと
しこり=すぐに危険、とは限りません。
ただし、自己判断でつぶしたり揉んだりせず、落ち着いて観察し、必要に応じて早めに受診することが大切です。
ここでは、はじめての方でも実践しやすい手順と、受診の目安をやさしく整理します。
※本記事は一般的な情報です。診断・治療は必ず獣医師にご相談ください。
まず結論
最初の3ステップ
- 記録する:サイズ(直径・高さ)、場所、硬さ、動く/固定、色、痛み、体調をメモ&写真。
- 緊急度チェック:急に大きくなった、出血・悪臭、強い痛み、ぐったり、発熱などがあれば早めに受診。
- 受診準備:発見日からの変化、既往症・服薬・予防歴(ワクチン等)を書き出す。
赤旗サイン(至急受診の目安)
- 1週間で急に大きくなっている
- 強い痛み、触ると嫌がる/鳴く
- 潰瘍化(ただれている)、出血、悪臭
- 発熱・元気消失・食欲低下・体重減少・咳や呼吸の変化 などの全身症状
愛犬にしこりができたら—最初にすること
触りすぎない“1分計測メソッド”
- 同じ条件で観察:毎回同じ体勢・同じ照明で写真を撮ると比較がラクです。
- サイズの測り方:メジャーや定規、硬貨と一緒に撮ると大きさが伝わりやすいです。
- 硬さと動き:やわらかい?弾力がある?皮下で少し動く?骨の上で固定?感じたままでOK。
観察記録テンプレ(書く項目)
- 日付/部位(例:背中右側・肩甲骨の後ろ)
- 直径・高さ(だいたいでOK)
- 硬さ(やわらかい・ゴムのよう・硬い)
- 動く/固定
- 色(皮膚色・赤み など)
- 痛みの反応
- 体調(食欲・元気・排泄・咳・体重)
- 写真(正面・横・拡大の3枚が理想)
やってはいけないこと(NG集)
- 強く揉む・押しつぶす
- 自分で針を刺す・潰す
- 人用の薬やクリームを塗る(獣医師の指示なしで)
- 民間療法を自己判断で試す
しこりの種類と特徴(素人判断は禁物)
よくある“良性”のしこり(例)
- 脂肪腫:やわらかく、皮下で少し動くことが多い“脂肪のかたまり”。
- 皮膚組織球腫:若い犬に見られることがあり、赤いドーム状に盛り上がることも。
※見た目だけでの断定はできません。検査がいちばん確実です。
“悪性”の可能性を示すサイン(目安)
- 短期間で急に大きくなる
- 硬くて不規則な形、皮膚や骨に固定されて動かない
- 潰瘍化・出血・色の変化、痛みが強い
部位別の注意点
- 背中・肩甲骨まわり:服やハーネスの擦れで悪化しやすいので観察。
- 四肢・肉球:歩き方や舐め癖の変化がヒント。
- 乳腺・腹部:未避妊の女の子は早めに相談を。
- 頭部・口腔:見落としやすい。口臭やヨダレ、食べ方の変化にも注目。
年齢・性別・体型と“ざっくり傾向”
- シニア犬:しこりが増えやすい傾向。
- 未避妊の雌:乳腺領域の変化は早めの受診を(一般論)。
- 肥満:観察しづらく、発見が遅れがち。体重管理は予防にも役立つ。
受診の目安と診療の流れ
受診すべきタイミング
- 2週間観察しても変化が続く/大きくなる
- 赤旗サインのどれかに当てはまる
- 不安が強いとき(気になったら遠慮なく相談)
動物病院で行う主な検査
- 視診・触診:全身の状態やしこりの特徴を確認
- 細針吸引(細胞診):細い針で細胞を採って調べる検査
- 病理組織検査・画像検査:必要に応じて追加(レントゲンや超音波など)
治療の選択肢(一般的な流れ)
- 経過観察:良性が疑われ、変化が少ない場合など
- 外科切除:大きさ・場所・性質によって検討
- 薬物療法:症例により選択
麻酔が心配なときの相談ポイント
- 年齢・既往症・血液検査の結果
- 手術の所要時間・リスク・術後ケア
- 不安点は事前にメモして質問すると安心
費用イメージの考え方
- 地域や病院で差が大きい
- 検査や治療の選択肢ごとに見積もりを依頼
- ペット保険の適用範囲を事前確認
原因とリスク要因の整理
一般的な背景
加齢・遺伝・ホルモン、慢性炎症や外傷、環境要因など、さまざまな要因が関係します。
しこりと病気の関係(基礎理解)
炎症性(できもの・膿など)と腫瘍性(良性・悪性)の違いを知っておくと、説明を理解しやすくなります。
他の症状との関連サイン
- 食欲・体重の変化
- 咳や呼吸の変化
- 飲水量や排泄の変化
- 行動の変化(元気がない、触られるのを嫌がる)
※これらも一緒に記録しておくと、診断の助けになります。
ホームケアと生活環境の見直し
自宅でできるチェックリスト(週1の定点観察)
- 計測・写真・体調メモを同じ曜日・同じ時間に
- 服やハーネスの擦れ対策(柔らかい素材・サイズ見直し)
- 寝床は清潔・乾燥を意識
舐め&擦れ防止の工夫
- 洋服やエリザベスカラーの活用(獣医師の指示に沿って)
- 舐めて悪化する前に、見守り+短時間の気分転換も有効
清潔・温度・紫外線など環境ケア
- 蒸れやすい季節は通気性と皮膚の清潔を意識
- 直射日光の刺激や、草むらでの擦り傷にも注意
予防と再発を減らす日常ケア
体重管理と運動
体型が整うと観察がしやすく、術後の回復もスムーズに。
毎日の散歩に軽い筋力トレをプラスしましょう。
食生活の整え方(一般論)
主治医と相談し、年齢・体質に合うフードを。
おやつは量と回数を決めて与えましょう。
月1セルフ“全身なで見”の習慣化
頭 → 首 → 背中 → 腹部 → 四肢 → 尾 → 口腔の順で、ゆっくり触れて確認。
見つけたら日付と場所をメモ。
避妊・去勢と一部腫瘍リスク(一般論)
体質や年齢、生活スタイルでベストな時期は異なります。
主治医と相談して決めましょう。
術後ケア(手術になった場合)
傷口の観察ポイント
- 赤み・腫れ・滲出液・においの変化はメモし、気になるときは連絡
- 舐め防止のため、カラーや服を適切に使用
シャンプー・散歩・食事再開の目安
タイミングは獣医師の指示を最優先。
無理をせず、少しずつ日常に戻しましょう。
エリザベスカラーのコツ
- 付け外しは落ち着いた声かけで
- フードボウルの高さを調整し、食べやすい環境づくり
よくある質問(FAQ)
Q1. しこりは自然に治りますか?
タイプによります。見た目だけでは判断できないため、変化が続く・赤旗サインがある場合は受診を。
Q2. 様子見はどれくらい?
明らかな赤旗がなければ最長でも2週間を目安に。大きさや硬さに変化が出たら、それより早く受診しましょう。
Q3. 複数のしこりが出てきました。
複数でも悪いとは限りませんが、性質は様々。検査で確認しましょう。
Q4. 背中以外で見落としやすい場所は?
口腔内、乳腺、脇、内股、肉球まわりは要チェック。月1の“全身なで見”が役立ちます。
Q5. ペット保険は使えますか?
契約内容によります。事前に保険会社へ確認し、病院で診療明細・領収書を受け取りましょう。
Q6. セカンドオピニオンは失礼になりませんか?
失礼ではありません。大切な家族のための前向きな選択です。検査結果や画像データを持参しましょう。
まとめ&今日やることチェックリスト
- しこりを計測して写真を撮る
- 観察表に項目を記入(サイズ・場所・硬さ・色・痛み・体調)
- 赤旗サインがないか確認
- 気になる点があれば病院の予約を入れる
- 以後は週1回、同じ条件で観察を続ける
保存版:つづけやすいしくみ作り
- スマホで観察用アルバムを作り、日付ごとに写真を整理
- メモアプリやスプレッドシートにテンプレを用意
- 月1回の“全身なで見”をカレンダーにリマインド登録
ライター紹介 Writer introduction

いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。