
愛犬がソファのひじ掛けやクッションにあごを乗せて、気持ちよさそうに眠っている姿を見たことはありませんか?
「もしかして、うちの子にも枕があったほうがいいのかな?」と気になって、このページにたどり着いた方も多いと思います。
実は、犬に枕が“絶対に必要”というわけではありませんが、体質や年齢、寝方によっては枕があることでラクになる子もいます。
この記事では、獣医さんの見解も踏まえながら、犬に枕が必要な場合・そうでない場合、選び方や注意点をやさしく解説していきます。
1. 犬に枕は必要?まずは結論とその理由
犬に「枕が必要な場合」と「必要ない場合」
まず結論から言うと、犬にとって枕は“必需品”ではありません。
ですが、次のようなケースでは、枕があることで睡眠がラクになったり、安心して眠れたりすることがあります。
- シニア犬で、首や関節に負担がかかりやすい
- あごや頭をどこかに乗せて寝るのが好き
- ヘルニアや関節のトラブルがあり、姿勢がつらそうに見える
- 鼻ぺちゃ犬で、少し頭を高くしたほうが呼吸がラクそう
逆に、床やベッドにそのままごろんと寝ていても気持ちよさそうな子や、枕を置いても全く使わない子にとっては、無理に枕を用意する必要はありません。
「その子がどう眠りたがっているか」を、よく観察してあげることがいちばんのポイントです。
犬が枕を好む理由とは?
犬が枕やクッションにあごを乗せるのには、いくつかの理由があります。
- 首や肩まわりの筋肉がゆるんでラクになる
- 少し高いところに頭を乗せたほうが呼吸がしやすい
- ほどよいフィット感に安心する
- 飼い主さんと同じように「枕を使うこと=落ち着く」と学習している
人間と同じように、犬にも「こういう寝方が好き」という好みがあります。
よくあごを乗せて寝ている子は、枕を用意してあげると喜ぶかもしれませんね。
犬と人間の寝姿勢の違い
人間は背骨がS字カーブになっているため、枕で首を支えたほうが寝やすいと感じる人が多いです。
一方、犬は4本足で歩くため、首や背骨への負担のかかり方が人間とは違います。
そのため「人にとっての枕」をそのまま犬に当てはめず、
・その子の体格
・寝方のクセ
・年齢や体調
などを見ながら判断してあげることが大切です。
2. 犬が枕を使うメリットとデメリット
メリット①:首や関節の負担をやわらげる
枕に頭やあごを乗せることで、首や肩まわりの筋肉の緊張がやわらぐことがあります。
特に、シニア犬や関節に不安がある子にとっては、少し高さのある枕がラクな姿勢をサポートしてくれる場合があります。
メリット②:安心感が増してよく眠れる
自分のあごをちょこんと乗せられる場所があると、「ここがボク(わたし)の寝る場所」と安心しやすい子もいます。
お気に入りの枕が一つあるだけで、落ち着いて眠れる“マイスポット”ができるイメージですね。
デメリット:合わない枕は逆効果になることも
一方で、高さや硬さが合っていない枕は、かえって首や背骨に負担をかけてしまうこともあります。
小型犬なのに大人用の高すぎる枕を使わせる、硬すぎる枕を使う、といったケースは注意が必要です。
また、枕の素材によっては、噛んで中身を出してしまったり、誤飲の危険があるものもあります。
犬用に使用する場合は、安全性とサイズ感をしっかり確認して選びましょう。
3. 犬に合った枕の選び方ガイド
サイズ選びの目安
枕を選ぶときは、まず愛犬の頭の大きさと体格を意識しましょう。
目安としては、
- 小型犬:小さめのクッションや細長いボルスターピロー
- 中型犬:あごを乗せたときに、左右に少し余裕があるサイズ
- 大型犬:大きめのドーナツ型ベッドや、サイドが高くなっているベッド
「頭を乗せたとき、無理なくおさまる」「横向きでも軽く乗せられる」くらいのサイズが理想です。
素材の特徴:低反発・高反発・綿など
枕に使われる素材には、さまざまなタイプがあります。
- 低反発タイプ:フィット感が高く、あごや首を包み込むような感触。じんわり沈むので、シニア犬に合う場合も。
- 高反発タイプ:しっかりとした支えがあり、体重が重めの子でも沈み込みすぎない。
- 綿入り・ポリエステル:ふんわり柔らかく、軽い。洗えるタイプも多く、お手入れしやすい。
噛み癖のある子や、よくホリホリする子の場合は、すぐに破れてしまう素材は避けたほうが安心です。
洗えるかどうかも大事なポイント
犬の枕は、ヨダレや抜け毛がつきやすく、清潔さを保つことが大切です。
カバーだけでも洗えるタイプを選ぶと、お手入れがぐっと楽になります。
4. 犬種・年齢別「枕が合いやすい犬」と「そうでない犬」
シニア犬:関節や首のサポートに枕が役立つことも
年齢を重ねたシニア犬は、関節や筋肉がこわばりやすく、「少し頭を高くした姿勢」がラクに感じる子もいます。
低めでやわらかめの枕や、サイドにふちがあるベッドを好むケースも多いです。
短頭種(鼻ぺちゃ犬)は呼吸状態を見ながら
フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は、もともと呼吸に負担がかかりやすい犬種です。
少し頭を持ち上げた姿勢のほうが呼吸がラクになる場合もありますが、高すぎる枕は逆に苦しくなることもあるため、必ず様子を見ながら調整してあげてください。
パピー(子犬)の場合は無理に枕を使わなくてもOK
子犬は自分で好きな姿勢を探す力が強いので、基本的には枕がなくても問題ありません。
もし用意する場合は、柔らかすぎない・小さめのクッション程度から始めると安心です。
5. 犬の睡眠環境を整えることも大切です
枕だけでなく「全体の寝床」を見直そう
枕だけを整えても、ベッドやマットが合っていないと、結局落ち着いて眠れないことがあります。
体格や寝姿勢に合ったベッド、滑りにくい床、ちょうどよい室温など、トータルでの快適さを考えてあげましょう。
音・光・温度もチェック
テレビの音が大きすぎたり、人の出入りが多い場所だったりすると、犬は熟睡しづらくなります。
少し静かで、エアコンの風が直接当たらない場所に寝床を作ってあげると、ぐっすり眠りやすくなります。
6. 枕を使い始めたあとのチェックポイント
本当にラクそうにしているか観察する
枕を置いても、まったく使わない場合や、すぐにどけてしまう場合は、「今のうちの子には必要ないのかも」と考えても大丈夫です。
無理に使わせる必要はありません。
逆に、毎日同じ枕にあごを乗せている、気持ちよさそうに眠っているようなら、その子に合っているサインといえます。
寝姿勢や呼吸の様子もチェック
枕を使い始めてから、
- いびきが急に大きくなった
- 呼吸が苦しそうに見える
- 落ち着かずに何度も寝床を移動する
といった変化があるときは、枕の高さや硬さが合っていない可能性もあります。
すぐに使用をやめて、様子を見てあげてくださいね。
7. 犬の枕に関するよくある質問
Q. 犬に枕はいつから使ってもいい?
基本的には、成長が安定してきた頃からであれば、様子を見ながら使って大丈夫です。
子犬の場合は体格もどんどん変わるので、まずは柔らかいベッドやブランケットから始めると安心です。
Q. 枕を噛んでボロボロにしてしまいます…
噛み癖が強い子には、柔らかすぎる枕や綿が出やすいクッションは不向きです。
かためのボルスター型ベッドや、噛みにくい素材の枕カバーなどを試してみましょう。
それでも難しい場合は、無理に枕を使わず、噛んでよいおもちゃを別に用意するのがおすすめです。
Q. 犬が枕を使うのは体に悪くない?
高さや硬さが合っていれば、基本的に問題はないとされています。
ただし、持病がある子(呼吸器・心臓・頸椎・関節など)の場合は、念のためかかりつけの獣医師に相談してから使い始めると安心です。
8. まとめ:犬に枕が必要かどうかは「その子次第」
獣医視点からのシンプルな結論
獣医の立場から言うと、犬に枕は必ずしも必要ではありません。
ですが、その子の体格や年齢、寝方のクセによっては、枕があったほうがラクな場合もあります。
愛犬の「好きな寝方」を尊重しよう
大切なのは、「枕があるかどうか」よりも、愛犬がリラックスして眠れているかどうかです。
枕を置いてみて使うようなら、そのまま取り入れてOK。
使わないようなら、無理せず別の寝心地の良い環境づくりを考えてあげましょう。
あなたの愛犬はどうしている?
ソファのひじ掛けにあごを乗せる子、床にペタンと寝る子、ブランケットに顔をうずめる子…。
寝方にも、その子のかわいらしい個性があらわれます。
ぜひ一度、愛犬がどんな姿勢で寝ているかをじっくり観察してみてくださいね。
そこから、その子に合った寝床や枕のヒントがきっと見つかります。
ライター紹介 Writer introduction
いずもいぬ
管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。
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