犬のくしゃみが止まらない!11歳ダックスの鼻水は「歯周病」のサインかも?
👨‍⚕️

この記事の著者:獣医師・山下 康太

シニア犬ケア専門獣医師 / 歯科研究会所属

年間300件以上の犬の歯科処置を担当。「年のせい」で片付けられがちなシニア犬の不調に隠れた病気を見逃さない、頼れるホームドクターとして活動中。特にダックスフンドの口鼻瘻管治療に定評があります。

「朝起きると、愛犬がくしゃみを連発している…」
「鼻水も出ているけど、元気はあるし…」

そんなモヤモヤを抱えていませんか?

11歳という年齢を考えると、「ただの風邪かな?」「それとも年のせい?」と迷ってしまうお気持ち、よく分かります。

しかし、シニア犬、特にミニチュアダックスフンドの場合、そのくしゃみは単なる鼻炎ではない可能性が高いのです。

実は、「歯周病」が鼻まで進行している合図かもしれません。

この記事では、獣医師の視点から、鼻水の色でわかる緊急度と、意外な原因「口鼻瘻管(こうびろうかん)」について解説します。

愛犬からのSOSを見逃さないために、ぜひ最後までお読みください。


【緊急度チェック】鼻水の色と状態でわかる!病院へ行くべきサイン

まずは、愛犬の鼻水をよく観察してみてください。

鼻水の色や状態は、体の中で何が起きているかを教えてくれる重要なサインです。

📊 比較表
鼻水の色・状態別の緊急度と疑われる病気リスト

鼻水の色・状態 緊急度 疑われる病気・原因 対応
透明・サラサラ 🔵 様子見可 アレルギー、初期のウイルス感染、寒暖差 元気・食欲があれば数日様子を見る。続くようなら受診。
黄色・ドロドロ(膿性) 🟡 受診推奨 重度の歯周病、細菌感染、異物 自然治癒はしません。数日以内に動物病院へ。
ピンク・血混じり 🔴 即受診 鼻腔内腫瘍、重度の炎症、凝固異常 命に関わる可能性があります。すぐに受診してください。

もし、愛犬の鼻水が「黄色っぽくてドロっとしている」なら、それはただの鼻水ではなく「膿(うみ)」かもしれません。そして、その原因の多くは、鼻ではなく「口」にあるのです。


なぜシニア犬はくしゃみをする?意外な盲点「口鼻瘻管(こうびろうかん)」

「くしゃみなのに、原因が口?」と驚かれるかもしれません。

しかし、シニア犬のくしゃみ原因として非常に多いのが、「口鼻瘻管(こうびろうかん)」という病気です。

口と鼻がトンネルで繋がってしまう病気

歯周病が重度になると、歯を支えている骨が溶けてしまいます。

上顎の犬歯(糸切り歯)の根元は、鼻の通り道(鼻腔)と非常に近い場所にあります。

そのため、歯周病菌によって骨が溶かされると、口と鼻を隔てる壁がなくなり、トンネルが開通してしまうのです。

口鼻瘻管 メカニズム図解

こうなると、水を飲んだりご飯を食べたりするたびに、それらが鼻の方へ逆流してしまいます。

鼻の粘膜が刺激され、激しいくしゃみや膿のような鼻水が出るようになるのです。

なぜダックスフンドはなりやすい?

特にミニチュアダックスフンドは、マズル(鼻先)が長く、犬歯の根元が深いという構造上の特徴があります。

そのため、他の犬種に比べて口鼻瘻管になりやすい傾向があります。

「最近、口臭がきつくないですか?」
「顔を触られるのを嫌がりませんか?」

もしこれらのサインにも心当たりがあれば、歯周病が原因である可能性は極めて高いと言えます。


「逆くしゃみ」と間違えてない?動画で見る正しい見分け方

くしゃみだと思っていたものが、実は「逆くしゃみ」だったというケースもあります。

逆くしゃみは生理現象の一種で、基本的には病気ではありません。

  • くしゃみ: 「ハクション!」と息を吐き出す。鼻水が飛ぶ。
  • 逆くしゃみ: 「ズーズー、ブーブー」と鼻を鳴らして息を吸い込む。首を伸ばして苦しそうな姿勢をとるが、数分で治まる。

[ここに逆くしゃみの参考動画リンクを挿入]

もし愛犬の症状が「ズーズー」と吸い込むような音であれば、緊急性は低いことが多いです。

しかし、鼻水が出ている場合は通常のくしゃみ(または併発)ですので、やはり受診が必要です。


もし「歯」が原因だったら?治療法と家庭でできるケア

「高齢だから、麻酔をかける手術は怖い…」
そう思って受診をためらっている飼い主さんも多いでしょう。

しかし、口鼻瘻管は自然には治りません。

放置すると、鼻水だけでなく、目の下から膿が出てきたり(眼窩下膿瘍)、常に痛みを感じて食欲が落ちたりしてしまいます。

抜歯で劇的に良くなることも

根本的な治療は、原因となっている歯を抜くこと(抜歯)です。

そして、開いてしまった穴を縫い合わせます。

「歯を抜くなんて可哀想」と思われるかもしれませんが、グラグラで痛い歯がなくなることで、嘘のようにくしゃみが止まり、元気を取り戻すワンちゃんを私はたくさん見てきました。

もちろん、麻酔のリスクはゼロではありません。

ですが、術前にしっかりと血液検査や心臓の検査を行い、リスクを評価した上で実施すれば、シニア犬でも安全に手術を行うことは可能です。

受診までのケア

病院に行くまでの間は、鼻周りをこまめに拭いて清潔に保ってあげてください。

また、部屋を加湿することで、鼻詰まりが少し楽になることもあります。


「たかがくしゃみ」と侮らず、愛犬のSOSに応えよう

「元気はあるし、ご飯も食べているから大丈夫」

そう思いたい気持ちは分かります。

でも、そのくしゃみや鼻水は、愛犬が発している「痛いよ」「苦しいよ」というSOSかもしれません。

特に黄色い鼻水が出ているなら、体の中で細菌と戦っている証拠です。

まずは一度、愛犬の口の臭いを嗅いでみてください。

もし「ウッ」となるような臭いがしたら、くしゃみの原因はそこにあるかもしれません。

早めに獣医さんに相談して、スッキリ治してあげましょう。

参考文献リスト

ライター紹介 Writer introduction

いずもいぬ

いずもいぬ

管理人:いずもいぬ(五十代前半) 家 族:子供1人とワンコの4人家族 居住地:大阪の出身で東京生活を踏まえ、現在は山陰で田舎暮らしをしています。 犬の健康管理や躾について、愛犬のラブラドールレトリバーとの経験を交えてご紹介しているホームページになります。

page top